奈落の果てで、笑った君を。





三条付近に屯所を置く新撰組とは同じ警備活動が主な役目であるが、ここは旗本だったり御家人、いわゆる幕臣で構成された組織。


壬生の狼───、

略して壬生狼(みぶろう)と呼ばれる新撰組などとは違って、俺たちは堂々と誇れる身の丈に生きている。


だからこそ新撰組は町人街、見廻組は官庁街という、警備場所にも目に見える差があるのだ。



「ふー、まさか本当に一緒に入ってくれちゃうなんてねー」


「入りたくて入っているわけではありません」


「そりゃあもちろん。俺だってできれば女の子がいいさ」



屯所内の余裕ある広さの湯に、あまり好きではない男と結局は肩を並べる始末になってしまった。

いつもならば先に入らせるところだったが、今日は俺も譲れない理由があった。


はやく戻ってやらねばと、今も俺の自室で眠っているだろう少女を思い浮かべる。

もしかすると起きているかもしれない。


そう考えると、さっさと出たくてたまらなくなる。