彼はこの見廻組のなかでも隊士だけではなく、与頭の佐々木 只三郎(ささき たださぶろう)からも評価のある人間だ。
俺のように幹部でもない最年少の平隊士にも手厚く接してくれる優しさと、秘める闘志を燃やしている人。
「お。わざわざお出迎えあっりがとー」
「たまたまです」
「まったくブレないねえ君は。堅物すぎてこの先困りそう」
少しのあいだ看病は今井さんに任せて部屋を出た頃、夕暮れ空に変わっていた。
ちょうど巡察から帰ってきたらしい桂 早乃助(かつら はやのすけ)と出くわし、最悪な日になりそうだと悟る。
「ついて来ないでくれませんか」
「方向が同じだけでーす」
「俺のあとにしてください。…血の匂いがします」
「ははは。そんなの気にするタチじゃないだろう?」
ここは二条城近くに位置する、見廻組の屯所。
見廻組とは、京で拡大してきた反幕府勢力が引き起こす治安の悪化を防ぐために設けられた治安維持組織である。



