「もっと出せって言ったのは尚晴なのに!」
「…知らん。出すほうも出すほうだろう」
「ええ…」
また逸らされちゃった…。
この人はもしかすると、わたしのことが嫌いなのかも。
「と、とりあえず、熱いときは冷まして食べろ。わかったな」
「うん…。だっていつも冷たいご飯しか食べたことなかったから」
「……そう、か」
ふー、ふー。
匙(さじ)に乗せた純白の白米へと、今度こそはしっかり息を吹きかける。
とろとろと飲み込みやすいように作られたお米は、それまで与えられていた味のしない冷たくて硬い穀米とは天と地の差だった。
「これもちょうちん?」
「これは行灯(あんどん)と言って、室内を灯す置き型の提灯のようなものだ」
「あんどん!」
昼間の今は点ける必要はないけれど、夜になったらどんな光を見せてくれるだろうと楽しみだ。
この部屋ひとつでも、見渡せば知らないもので溢れている。
「ふかふかだねえ。こんな温かいところで寝たの初めて!」
「…いつもはどうやって寝ていたんだ」
「そのままだよ?湿ってて、ぐにょってしてて、着物すら着せてくれなかったからすっごく気持ち悪いの!」



