奈落の果てで、笑った君を。





尚晴は、忽那。
ノブちゃんは、今井。

将軍様は徳川ちゃん、というわけではないだろうから、“徳川”というのがその、せい、なのだろう。



「なら……、忽那、でいいんじゃないか」


「それは尚晴のだよ?」


「…俺がお前の名前を付けたんだ。それを忘れないためにも俺の姓をやるのが妥当だろう」



忽那 朱花(くつな あすか)。


名前なんかいらない、と言っていたさっきまでの自分が嘘みたいに消えた。

ふわり、ふわり。

その名前を繰り返すたびに、花が開くように心が温かくなる。



「今井さんが作ってくれた粥が冷める。首と足の怪我もそのあと見せてくれ」


「…うん、ありがと」



ケガ、長引かないかなあ。
身体もずっとずっと熱くていいよ。


また夜になって川に入ろう。

それから変な男たちがやってきて、わたしは首から血を流すの。

最終的には殺されそうになって。


そうしたらまた、あそこの橋の下に尚晴は来てくれる?