奈落の果てで、笑った君を。





柔らかいのに、とろけそうなのに、噛みついてくるみたいに激しくて苦しくて、どうしたらいいか分からなくなる。


なのにどうして。

どうしてこんなにも胸は幸せいっぱいなんだろう…。



「───…とある男が言っていた。生きていく上で大切なことは…気合いと根性。そして、諦めない心だと」



唇が離れると、眼差しだけでなく声まで艶やかなものが届けられた。


ごめん、ごめんください尚晴。

ぜんぜん頭に入ってこない。


世の中にはあんなにも柔らかくて幸せを感じられることがあるんだって、今はそれだけでいっぱいだ。



「尚晴、いまの……もういっかい」



あの柔らかさは何だろう。

あんなにも心地いいのに、それは尚晴としかしたくないと思う特別なもの。



「んっ、…っ、ん」



今度はすごく優しいもの。


ただお互いの唇を合わせているだけなのに、こんなにも簡単なことをしているだけなのに。

合わせ方ひとつで伝わる気持ちや愛情があるんだと、知った。



「…もう1度、するか?」


「うんっ」