奈落の果てで、笑った君を。





“笑うこと”を初めて、“隠すこと”として使ってしまった。



「たぶんね、わたし、尚晴まで居なくなっちゃったらダメなの。折れちゃう」



震えてるの、今だって。

それを考えるだけですごくすごく怖いんだよ。


命の終わりというものは、いつ訪れるか分からない。


ほんの少し前までは楽しく話していたはずが、気づけば消えてしまっているかもしれない。

それが、この戦で知ったことだ。



「だから尚晴は、わたしを置いて明日にでも逃げ───、っ!」



おもち、だと思った。

ふわっと柔らかくて、とろけるような感触は。



「しょう、せっ、んん…っ!!」



黙らせるように塞いでくる。

わたしが逃げようと押し返したところを、何度も何度も角度を変えて重ねられて。


やわらかい……、あったかい……。


お月さまが綺麗だ。

真ん丸いお月さまが、わたしに重なる尚晴の頭上に見えた。



「んんっ…!んぅっ」


「…っは、」



固定されてしまっている後頭部。

聞いたことがない、切羽詰まらせるような尚晴の熱くて甘い吐息。