奈落の果てで、笑った君を。

只三郎side




「近くまでっつってたのに…、まったくどこまで行ってるんだ桂のやつは!」


「道にでも迷ったか?敵に鉢合わせていないといいが…」



決して誰もが「逃げたんじゃないか?」とは予想もしない。

それほど桂 早乃助という男は茶目っ気のある気質なようで、信念が通っていることは誰もが知っていた。


帰ってくる、必ず、帰ってくる。

約束したでしょう、早乃助。



「それか、あのふたりと別れるのが惜しくなって離れられないのかもな」


「はははっ、それはありそうだ」



離脱した仲間を思うだけで笑顔。

それはやっとこの戦から離れさせることができたと、誰もが安心しているからなのだろう。


あの子たちは私たちの希望。


重量ある防具を身につけ、それぞれが戦場へと向かう準備が整っていた。

聞こえてくる銃声、こちら側の戦法は主に刀。


だとしても行くしかない、進むしかない、最後まで己の責務を全うするのみ。



「新撰組の斎藤だ。佐々木 只三郎殿はいらっしゃるか」



そんな私のもとに、ひとりの男がやってくる。