奈落の果てで、笑った君を。





いつか忘れられて、平和な世が訪れたら、表面上だけで同情し、わかったふりばかりをする子孫たちで溢れているんだろう。


だとしても、だとしてもだ。

俺はこの世に生まれて来なければ良かったと思ったことは1度たりともない。




「……いか、ないと…、はや…く……、佐々木…さんの……ところ、」



「…もう、大丈夫だ。約束する。……安らかに眠れ、桂」



「かあ…さん……の、…とこ…、────……」




なあ、俺たちが足場となって繋いだ後世を生きる若者たちよ。


平和な国になってはいるか。

刀を持っている人間は、もういないのか。


こんなにも重い防具を身につけて、この季節に完全な防寒具とは言えない身なりをして。

走りづらい草履で泥道を駆け抜けているような、そんな武士など存在しない国になっているか。


伝えたい気持ちをすぐに伝えられて、届けたい思いを遠くからでもすぐに届けられるような。


そんな、そんな世に。


君たちから見れば、俺たちがやっていることは心底馬鹿馬鹿しいんだろう。

国のために、誰かのために、己の血と涙を流しては死んでゆく。


無駄死にと言われてしまうかもしれないな。


けど、そんなふうに笑うことができる未来が訪れているのなら、俺はそれでいいんだ。



この世は残酷だけど、きれいだと思ってくれればそれで─────……。