奈落の果てで、笑った君を。





「おじいさん、ぼくね、みんなとは身体が違うんだって。成長しないんだって」


「ほう?」


「だってね、もう70年は生きてるの」



ちょこんと、まだ生きている老人の隣にしゃがむ。

少し離れた場所には、座ったまま生を終えたおじいさんの姿。



「だから本当なら、おじいさんと同じ歳くらいだね」


「ふぉっふぉっふぉっ。面白いことを言う子じゃのお」


「本当だよ?」


「じゃが、ここまで育っておろう?」



ふと、顔を向けてみる。

穏やかな顔でまぶたを伏せるおじいさんは、まるで死というものを恐れぬ仏のようだった。



「成長せぬのではなく、普通よりは成長速度が遅いというだけのことじゃ。結局は、最後は、同じじゃよ」



救われた。

この言葉が、胸にじんわりと広がった。


今までは“普通とは違う”、“おかしい”、そんなことばかりを言われてきたけれど。


ぼくもみんなと同じ最後を辿れる。

死ぬことを経験できる。
こんなにも嬉しいことはない。