奈落の果てで、笑った君を。





そのとき、俺にトドメを刺そうとしていた男が俺よりも先に死んでいった。

なんとか残った気力で半分も開かない瞳を動かし、そこに立つ影を映す。



「───…さい……とう…」


「…ずいぶんと情けないな」



どこがだ、格好良いだろう。

俺は俺らしい最期が飾れて満足してるんだ。


そばに膝をついて俺の身体を支えたのは、そいつの背中に広がった青空が浅葱色の羽織に見えた新撰組の斎藤 一だった。



「悔しくはないのか」



悔しいって、なにがだ。


こうして地面に這いつくばっては必死なことか?

それとも、銃相手に刀では手も足も出ない現実を知らされたことか?



「ああ……、くや、しいさ…、おれ、だって…、だから……懸け…させて…、くれよ……、せめて…」



あんなやり方しかできなくて、すまない。


尚晴、お前が坂本 龍馬を斬ることができなかったとき、俺は心底おまえを軽蔑したよ。

でも、納得もしたんだ。


この世の中は間違ってる。
この世は、変わるべきだ。


だからあのとき坂本を斬れなかっただけでなく、立場があった上でも俺に楯突いてきたお前に、俺は懸けたい。