でも、やっぱり桂も戻っちゃうんだ…。
「大丈夫だ朱花。早乃助さんは俺より強い」
わたしの手を引いた尚晴は、桂のことを誰よりも信頼している顔をしていた。
「えー、俺おまえに勝ったことないけど」
「…いつも手を抜いていたことくらいは知ってます。でも実戦では躊躇わない、それが早乃助さんだ」
「…ふっ、嬉しいような嬉しくないような」
今日で桂とも離れるんだ。
見廻組のみんなで過ごしていた毎日とは、しばしのお別れ。
だからか、尚晴と桂のあいだにも優しい空気が流れていた。
「お前らふたりはほんっと、俺のこと年上だと思ってなかったでしょ」
「はい」
「うん!」
「……こっんのクソガキども」
だけど、年上だった。
いざとなったら頼れる存在だった。
いつもグチグチペラペラうるさかったけれど、それもこれもぜんぶ大きな何かで包んでくれていたこと。
「でもまあ、楽しかったよ俺も」
またつぎ会ったときは何をしようか。
そのときはどの季節になっているのかな。