奈落の果てで、笑った君を。





物陰にひっそりと隠れ、ふたりの会話を盗み聞く。


見廻組と新撰組。

それまではいがみ合っていたとしても、やっぱり同じ志の下に集った兄弟だ。



「誠の武士にはなれると言ってくださった言葉、私は信じています。新撰組も……私たち見廻組も」


「───はい。なりましょう佐々木殿」



もう、なってるよ。

見廻組も新撰組も、とっくになってるよ。


心のなかでつぶやいて、わたしは物陰から移動した。



「なにしてるの?」



ふと、城内にある池の前。

襦袢姿に着物を羽織った細身の青年がひとり、集まってくる鯉に何かを投げていた。



「ん?鯉にエサでもあげようかと思って。君は確か……、ふふ、面白い子だよね」


「わたしもあげたい!」


「いいよ。これ、小さめに丸くこねて落としてごらん」


「うんっ」



この人はキョクチョーと一緒にやってきた新撰組の隊士。

そういえば家茂公が入京したときも、新撰組が並んだ列のなかでずっとクスクス笑っていたような。


だからわたしのことも見覚えはあるみたいで、彼は優しくエサやりを教えてくれた。