奈落の果てで、笑った君を。





「幕府の敵が紛れ込んでるらしいぜ」


「化け物の子って言われてんだろ?」


「おいおい勘弁してくれよ見廻組。俺たちを騙しに来たんじゃねェよな?」



相手にしない、噂など3日経てば消えるもの。

只三郎の言葉を信じた組員たちは、どんなに怪訝な目で見つめられたとしても己を貫いた。


────はずが、知らないところで内部争いが起きてしまい、ひとりの組員がひとりの組員の手によって殺された。



「あなたが野中(のなか)を斬ったのですか」


「……はい」



言い争い、口論、いざこざ。

その延長で仲間の命が消えてしまうなど、誰が望んだのか。


城の空き地にて、見廻組の全員が揃った朝。


只三郎はただ静かに、けれど冷たい眼差しで、仲間を斬ってしまった隊士に問いかけた。



「嘘などいつか見破られてしまうものです。そして延ばせば延ばすほど、あなたに降りかかる罪が嵩(かさ)むだけだ。…すべて吐きなさい」


「っ…、尾張藩に…金をもらっていました」


「それで?」


「その代わり……朱花を擁護する者を斬れ、と」