奈落の果てで、笑った君を。





存在してはいけない、化け物……。


そんなふうに言われたのは初めてだった。

確かに牢では見張り役たちはいつも「さっさと殺してしまえばいい」と言っていたけれど。


それは面倒だからとか、気味が悪いからとか、そういう意味だと思っていた。


でも、違ったんだ。

わたしは存在してはいけない化け物だからだったんだ。



「存在しちゃならねえ…か。なんだ?後世(のちよ)の存在か何かってか?」


「…詳しくは…知らぬが、」


「はっ、くっだらねえな」



おとーふ色の女みたいな顔をした低い声の鬼は、バッサリと切り捨てた。



「ここは京を守る俺たち治安維持警備隊の屯所だ。勝手な真似は辞めてもらおうか」



物陰に身を潜めていたわたしを、スッと鋭い眼差しが一瞬だけ捉えてきた。

気づかないふりをしているのか、本当に気づかなかったのか、その男は何事も無かったかのように戻す。



「き、貴様ら農民が我々に指図するのか…!!これは幕命なのだ!!貴様ら新撰組とて徳川には逆らえないだろう!!」


「…んなら、徳川をここに連れてきやがれ」