「守る、モンは……誰やて…同じ、やっちゅーに…、どいて、みんな……同じモン…で…、満足、できんが…じゃ……」
守るものは誰だって同じだというのに、どうしてみんな同じもので満足できないのか───。
その思想が間違っているとは俺も思えない。
日本を変えようとしてくれた。
いや、もう、洗濯されつつある。
あんたはここで死ぬような男じゃない。
そうだろう、坂本 龍馬。
「なぜ……、俺を撃たなかったんですか…」
撃てたはずだ。
引き金を引いてしまえば弾が飛び出すんだろう、その“ぴすとる”は。
「ここ、の……、撃鉄…いう部分を…倒さんと……、引き金、を…引いても……意味、ないぜよ…」
震える手は、ずっと右手に握られたままのそれを見せてくれる。
上部分についている突起物。
それを倒してから引き金を引くことで、勢いよく銃弾が飛び出すのだと。
「ちがう、撃てたはずだ…、撃てたはずなんですよ…っ」
撃てた、その時間はあった。
早乃助さんから間合いを取って呼吸する時間があったのだから。
そんな突起物、親指で少し触れば動かせるはずだろう。
だけど龍馬さんは1回だけ俺を見て、微笑んだんだ。
やめたんだ────自分の意思で。



