奈落の果てで、笑った君を。





最後、彼は俺に時間をくれたのだろう。

坂本 龍馬を斬ることができなかった俺に、庇ってしまった俺に、少しでも話せる時間をと。


そんな残酷すぎる優しさが今井さんらしくて、俺は逆に意識をどうにかしてでも戻された。



「……龍馬…さん」


「…はーー……、やられた……のお」



助からない、傷が深すぎる。

彼も自分でそれは分かっているみたいで、隣に転げる中岡 慎太郎へと笑いかけていた。



「なかおか……、ワシゃあ、もう……、駄目…ぜよ」


「……ワシ…も、……じゃ」



語尾を最後まで言い終わる前にはもう、中岡は息を途絶えていただろう。



「まっこと…なっさけない……のお…」



情けなくない。

あなたに情けないところなど、ひとつもない。



「ようよう……薩摩と長州…を…、統一、させ……、政権も…幕府、から……取り、返し……、まだまだ…、これ…から、やった…ちゅー、に……」



薩長同盟、大政奉還。

あなたがやったことは大きすぎて、偉大すぎて、凄すぎて。