奈落の果てで、笑った君を。





「なにしてんだ退け……ッ!!!」


「ぐっ…!」



ドンッ!!と、早乃助さんは俺の腹を蹴る。

ぐらっと傾いた身体は体勢を崩し、刃が反れた。


俺は咄嗟に顔を覆っていた布を外し、声だけでなく視界からも入る情報を伝えた。



「龍馬さん……ッ!!!」



俺たちはあんたを暗殺しに来た。
この日がとうとうやって来たんだ。

逃げろ。

こうなれば俺はもう見廻組からも追放されるだろうが、それでもいい。


そのときは、そのときは……できたら、あなたと一緒に朱花を連れて旅をさせてくれませんか。



「龍馬さん…っ、俺を撃ってください…!!!」


「っ!」



すぐに彼は早乃助から間合いを取って、懐から拳銃を取り出す。


俺が撃たれれば、ぴすとるの恐怖をまだ目の当たりにしていない彼らは怯むだろう。

今日のところは失敗だと、退却するかもしれない。



「…おまんは……、まっこと…」



彼は確かに銃口を俺に向けたが、引き金を引くことをしなかった。

そこには感じていいはずの悪意や殺意がひとつも無く。


明らかに俺たちは龍馬さんに刀を向けているというのに、敵だというのに、彼は俺を撃とうとはしなかったのだ。