「ほなうちは向こうで作業をしとりますさかい。またなんかあったら、呼んどぉくれや───、」
店主のみぞを打ち、気を失わせたのは俺。
恐ろしいほど、すべてが佐々木 只三郎の台本通りに進んでいる。
「松代藩だと?そんなもの聞いていな───………」
音すら無く、精々するほど静か。
向かっていった階段の途中にて、図体の大きな力士の急所を、お得意の小太刀で斬ってしまった与頭。
ごろんっと転げ落とすことはせず、階段に座らせるように寝かせた屍(しかばね)。
「私は万が一の場合に備え、下を見張っています。君たちは任務遂行だけを考えなさい」
いるな、そこに居てくれるな。
それだけを願っていた俺は、早乃助さんと今井さんに続いて階段をゆっくり上りながらも祈っていた。
─────スパンッ!!!
「ん?藤吉ぃ、なぁんや、そがな驚かせ───」
男がひとり、倒れた。
天井が斜め造りの一間にて、そこまで広くはない真ん中にグツグツと煮えているシャモ鍋。
先に入っていった桂 早乃助が、まず立ち上がって反応したひとりを斬る。



