来た道を戻るにしても、その来た道すら分からないわたしは。
気づけば裏路地の真ん中、ぽつりと佇む。
とにかくさっきの橋へ行こうと、建物の隙間を走った。
「だとしてもニジョに帰れないもん…」
また初めての場所だ。
でも来たときもこんなところを歩いたような気がする…と思ってしまったわたしは、完全に迷っている。
「まさか斎藤くんまでこっちに来るとは思わなかったよ」
「…俺は己の志を信じている」
「ふーん。だとしても、斎藤くんはいつだって忠誠心の塊だったからさ。土方さんは落ち込んだんじゃねーの」
という久しい声を耳にして。
「へーすけ!!!」と、わたしは大声を出した。
人通りが多いため、相手が見つけてくれないかもしれないから。
でもこんなふうに大きく呼べば───ほら。
「ちょっ、今度はここかよ!!なんでお前はオレが行くとこ行くとこに出没すんだよ!!」
ぎょっとさせて気づいてくれた。
すごい…!
へーすけの顔を見るだけで見廻組の人間と近しい安心感がある……!



