奈落の果てで、笑った君を。





けれどそんなことつゆ知らずのわたしは、この日は少し違う場所まで足を運んだ。

いつものお散歩経路だと決まった時間に屯所に帰宅してしまうため、あえて時間をかけたかったのだ。


そう、只三郎にも尚晴にも内緒でたったひとり。



「ねえおじさん、ここってどこなの?」


「んん?ここは嵐山やで。もう少し歩くと渡月橋が見えてきはるわ」


「あらしやま?トゲツキョ?」


「せや。京は楽しいで~」



どうやらわたしを観光客と間違えているらしい。

ずんずん歩いては走ってを繰り返した結果、景色は見慣れないものに変わっていた。


歩く人々、大きな橋、下を流れる激しい川。


進んでいくとちらほらと見えてくる神社。



「…つまんない」



やっぱり帰ろう。

いつものお散歩経路のほうが花だって咲いているし、もっと緩やかに流れる川がある。

ここは道が狭いし、どこか慣れず目が回りそうだ。



「……どうやって帰ればいいんだっけ」