奈落の果てで、笑った君を。





笑顔で送り出してくれた尚晴のお父さんとお母さんが見えなくなるまで手を振って。

帰りはできるだけ駕籠を使い、辿ってきた道を戻った。



「ただいま!みんな寂しかった!?」


「うるさいのが帰ってきたーーー」


「はは。桂くんがいちばん寂しがっていたよ」


「おかえりふたりとも。無事で何よりです」



それから無事に着いた京。

屯所が見えてくると、門の前にはいつもの顔ぶれが立っていた。



「尚晴、なにか大事はありませんでしたか?」


「…はい」



とりあえずわたしは、みんなに渡そうと思っていたあるものを取り出した。



「え、なにこれ草?そこらへんの雑草?」


「ススキ!向こうで取ったお土産っ」


「……ご当地の名物とかを期待してた俺が馬鹿でしたーーー」



あの夜のことは、ふたりだけの秘密。


お城を出てきたときは裸で外を歩いても何も感じなかったのに。

あのときはなぜか、すごく恥ずかしかった。


それと尚晴がぜんぜん違う人にも見えてドキドキしたことは、わたしだけの秘密───。