奈落の果てで、笑った君を。





「ひゃ…」



いつもより吐息が近くにある。

耳へと直接的に吹かれたわけではないけれど、どこかくすぐったくて変な声。



「ふふっ、なに今の声!」



自分の声なのに笑ってしまう。

我慢しようしようと思うほど、どうしてか出ちゃう。



「…もう1度、聞かせてくれ」


「やっ、うひゃあっ」



わざとらしく耳元で喋ってくる。

そのたびにわたしの身体はピクリと跳ねて、引こうとした背中と後頭部はガッチリと。



「もうっ、変な声でちゃう!」


「…出してくれていい」



背中をすべって、首を通って、髪を優しく撫でてくれる熱い手のひら。

むず痒くてくすぐったい気持ちが、身体の奥からじわじわと這い上がってくる。


と、いま以上にぐいっと引き寄せてきた。



「しょう、せい?」


「っ、…悪い」



なにかをずっとこらえているみたいに、苦しそう。

ハッとしたように力は緩まって、どこかわたしに物足りなさを植え付けてくる。