奈落の果てで、笑った君を。





最初は少しの緊張を持っていたけれど、楽しい日々を過ごせた。

家族というものを知れた。

リョーマとも出会えて、知らない土地を歩けて。



「また来たいな…」


「いつでも来よう。父さんも母さんも喜ぶ」


「うんっ」



そろそろ寝ようと身体を動かそうとすると、それより先に引っ張られてしまったらしく。


気づけば縁側に座った尚晴のお膝のうえ。

しっかりと回された腕によって抱えられていた。



「尚晴、まだ寝ない?」


「…まだ、もう少し」



この旅の期間で、尚晴との距離はすごく近づいたように思う。

今だって布団のあいだにびょうぶを立てられていなく、尚晴も何も言わない。


ここは動物も襲ってくることはなく安全だというのに、外で夜を過ごしたときと同じようにこうして密着してくる。



「こっちがいい!」



くるっと、体勢を向き直る。

そうすると尚晴の顔を見ることができるから、こっちのほうが好き。