奈落の果てで、笑った君を。





「そうや。ワシが龍馬ぜよ」


「…驚かないんですか」


「ワシはいろんな意味で人気者になりすぎちゅーきな。今さらじゃ」



薩摩と長州が同盟を結ぶ足掛かりとなった男であり、その先は政権交代を企んでいると。


人気者にならないほうがおかしい話だ。

同じ志を持つ者以上に、幕府を支える者たちに。



「それにしても、おまんに助けられた。感謝するぜよ!」



坂本 龍馬が太陽のような笑い顔を向けると、朱花もニコッと同じものを返す。



「ふふっ、なに言ってるか分かんない!」


「ん?ああ、方言かえ?」


「ホーゲン?ぜよって言うの、ホーゲン?」


「ほうじゃ。海の先にゃあ、もっと分からんことを喋る人間で溢れかえっちゅーぜよ」


「うみのさき…?」



やめろ、それ以上は言うな。
この子の興味を引くのはやめろ。

そう思っている心よりも、実は聞かせてやりたい心のほうが大きかった。


この男が身分差別を無くそうとしているんだ。

誰もが平等を掲げることができる世を作ろうとしている男なんだ、と。