奈落の果てで、笑った君を。





本当に薩摩と長州が手を組んだのか。

本当に、政権を幕府から朝廷に返させるつもりなのか。


そうなった場合、俺たちは幕府を立てる佐幕派なのだから、薩長に対抗する組織として使われるだろう。


どちらかが勝者となり、またどちらかが敗
者とされる。

そんな戦の世が来てしまう。



「ああああああ!!まっこと鬱陶しい奴らぜよおおおお!!!」



ダダダダダダダッ!!!


走ってくる。
誰かがこちらに勢いよく全力疾走で。

照らす太陽が逆光となり、その顔はよく見えない。


俺はすぐさま朱花を庇うように前に立ち、最悪の場合に備えて刀をクイッと左手で支えた。



「頼むっ、匿ってくれ!!!今だけじゃ!!」


「は?ちょっ、関わらないでくれませんか」


「ほがな冷たいこと言うなき!!刀を持っちゅーんならっ、弱き者を助けんでどうするが…!!」



この強引にも我が道のように進んでしまう会話。

癖のある喋り方、着物についた家紋。



「おじさんこっち!」


「おい朱花…!」


「ワシはまだ29じゃ!!だが恩に着るがぜよおおっ」