奈落の果てで、笑った君を。





「…着物と化粧……、よく…似合っている」


「ありがと!」


「…俺も、お前のことが……いちばん好きだ」


「ふふっ、うれしい!」



たのしい、うれしい、おいしい、すき。


朱花にとっての愛情表現はとても単純で、簡単で。

だとしてもそれだけでいいと思ってしまう力がある。



「だから…他の男には、同じように言ってはならぬぞ」


「え?」


「俺に対する好きと、他の者に対する好きは……違う、からな」


「うん?」



首を傾けてから、理解したかしていないか不明ながらも「うんっ」と笑うのが朱花だ。

そしてそれだけで許してしまうのも俺で。


この子はゆっくり、普通より長い時間をかけて成長していくんだ。


佐々木さんが1歳だと言っていたのは、そういうことなのだろう。

牢を出た瞬間、朱花は生まれた。

そして俺たちと出会ったところから朱花としての人生は始まったのだ。


だからまだ、この子は2歳になったばかり。



「楽しかったね!」


「ああ」


「いつか見廻組のみんなでも来たいなあ」


「…そうだな」