奈落の果てで、笑った君を。





「振り切らず力を込めて止める」


「えいっ!やっ!とーっ!」


「ふっ、威勢はいいな」



母さんとは秒で打ち解けた朱花だったが、さすがに厳格な父さんとは時間がかかるだろうと思っていれば。

そんなことは無かった。


今も庭で木刀を持った朱花は指導を受けており、指導する側もそれなりに楽しんでいるようで。



「おじさんっ、これができるようになったらわたしもみんなみたいに棒を持てる?」


「棒…、刀のことか」


「うんっ」


「おなごが刀を持つ必要はない。それにお前の場合は……俺の息子がきっと守ってくれるだろう」



ああ、守るよ。

朱花だけは俺が何としてでも守る。



「じゃあ尚晴は?」



俺と父さんの動きは同じだったと思う。

物陰に隠れながらも、俺は朱花へと視線を移した。



「尚晴のことは誰が守るの?」


「…あいつは自分自身が守る」


「ううん。尚晴が元気ないときはわたしがおはげを作って元気にしてあげたの!だから尚晴はわたしが守ってあげるっ」