奈落の果てで、笑った君を。





「……尚晴…?あらっ、もう着いたの!!」


「ああ。ただいま」


「おかえりなさい!無事に来れて良かったわ!」



この人が尚晴のお母さん……?

もっと怖い人を想像していたけれど、まるで正反対だった。



「えっ、あら、あら!!なあに、女の子まで連れて来ちゃって~!」


「同行者をひとり連れて来ると手紙には書いただろう」


「まさか女の子だなんて思わないじゃない!」



あ───…、似てるかもしれない。


笑うと優しそうに目尻が下がるところ。

可愛いというより、綺麗と印象づける顔立ち。



「こんにちは。尚晴の母です」


「こ、こんにちは!!わたし朱花!」


「ふふ、朱花ちゃん。元気な子ね~!」


「うんっ」



笑顔を作ったわたしの隣で、尚晴は胸を撫で下ろしていた。

ちょっとだけ緊張するけれど、優しく笑った顔が尚晴にそっくりだったから。