奈落の果てで、笑った君を。





完全に避けられている。

まさか朱花でもこういうことをするのかと、まずはそこに驚いた。


だが、こればかりは自業自得でしかない。
弁解の余地すらない。



「朱花、」



この数日間は同じ部屋で寝ていなかった。


珍しく屯所内はがらんと空いていることだし、他の部屋を使わせてもいいんじゃないの?

───と、余計なことをしたのは言わなくてもあいつだ。


いまも湯上がりの少女はそのまま俺の自室とは反対方向へ向かおうとするものだから。

ここはもう腹をくくって名前を呼んだ。



「どうしたの?」


「…すまなかった」


「え、なにが…?」


「…一昨日は、悪かった」



あまり言葉にも出したくない。

だが、忘れるくらいなら覚えていたかったとも。



「ふふっ、怒ってないよ!大丈夫っ」


「…避けているだろう俺を」


「………」



ふと、朱花の笑顔が曇った。

嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた。


それだったら死んだほうがマシだと思ってしまう自分は、坂本 龍馬が言っていたように女々しいんだろう。



「あのね?えっとね、避けてるんじゃなくて…」


「…ああ」


「ここっ」


「……え…」