奈落の果てで、笑った君を。





もの寂しさを感じてしまった。

朱花がその場を動こうとしていないことに。


てっきり俺は両手を広げて走り向かってくると思っていたのだが、今も離れた場所で花を咲かせているだけだ。



「では僕はこれからお雑煮を作ってくるよ」


「ノブちゃん!わたしも手伝う!」


「ありがとう朱花。じゃあ一緒に作ろうか」



取り残された俺。

なにかを察したようにニヤニヤ顔を向けてくる男がひとり。



「そりゃあ、ねえ?嫁入り前どころか男すら知らない少女に口づけしたらそうなるわー」


「…俺はそんなにひどかったんですか」


「ひどいひどい。ど興奮させて抱きたいとか言ってたし」


「っ!?!?……切腹、させろ」


「はははっ、落ち着きなさいよ尚晴くん。朱花に伝わっていないだけ救いだろう?」



……最悪だ。

どんな理由があろうと、もう2度と酒なんか呑まないと誓う。

つぎ同じことをした場合、そのときこそは腹を切る。



「おや、朱花は僕の隣で食べるのかい?」


「うんっ」