「尚晴!切られちゃう!」
ギリギリのところで避け、俺も反撃を開始した。
「さっすが」と言いたげに唇の端を上げた早乃助さん。
俺が自分のなかで誇れるところなど、これしかない。
武家の三男に生まれ、小さな頃は跡継ぎでもある長男を不慮の事故に遭わせて亡くしてしまい、父親が期待する女との関係すら破談にしたような俺は。
この剣しか残っていなかった。
「やっぱお前の剣さばきには惚れ惚れするよ、尚晴っ」
カンッ!カンッ───!
審判をしてくれているのは今井さん。
腕を組んで真剣に見つめている与頭と、その隣で一喜一憂させながら目で追いかけている朱花。
「でも、俺の首もそう簡単には取らせない…からっ!」
「っく、」
剣に優れた者ばかりが集められているのもまた、この見廻組の特徴だ。
身分もあり、剣術に長け、申し分ない実力が揃う。
さすがは桂 早乃助の実力も本物だった。
何度も何度も弾き返され、攻撃も防御も固く、一筋縄には通らない。
だとしても負ける気もなければ、負けるわけにもいかないのだ。



