奈落の果てで、笑った君を。





ぐらっと傾いてきて、わたしに体重を預けてくる。


ふんわり匂う、独特な香り。

そうだ、いつも隊士たちが絡んでくるときもこんな匂いがしていた。



「尚晴だいじょうぶ?身体もあっついよ?」


「……かわいいな、こいつ」


「へ?───わっ」



身体が離されると、じーっと見つめてくる。

その目はいつもの尚晴じゃなく、どこか半目がちに潤んでいた。



「もっと来いよ。かわいい子猫ちゃん」


「……尚晴?」



だれ……?
尚晴がおかしくなっちゃった…。

今度はまたぎゅうっと抱きしめてくるし、すりすり頬を寄せてくる。



「ぶっ…!あははははっ!!!なに、まじ、子猫ちゃんっ、って!!恥ずかしい、ほんと恥ずかしいってそれはっ!」


「わわわわっ、忽那くんが大変だ…!」


「…酒は本性を暴くと言いますからね」



尚晴のお膝のなかから出られないのは、離してくれないから。

離れようとすると「おいおい、離さねえぜ子猫ちゃん」なんて、言ってくる。