奈落の果てで、笑った君を。





「わたしも飲みたい!」


「これは大人が呑むものだよ。きっと朱花の口には合わないでしょう」


「どうして?わたしも大人だよ!16歳だもん!」


「……朱花は、まだ1歳です」


「ふっ、はははっ!えっ、佐々木さん酔ってます?1歳っ、1歳って…っ、俺でも3歳って思ってたのに!」



お腹を押さえながら涙まで拭っている桂。

そんなに笑われたことよりも、わたしは只三郎が1歳だと言ってきたことのほうが納得いかなかった。



「ちがうよ!わたし本当は70歳なの!みんなよりずっとずっと大人!」


「………」



その瞬間、笑っていた桂の声が止まった。

ノブちゃんも只三郎も、尚晴も。
みんなが口を閉じてわたしを見つめてくる。


一瞬だけ氷のようになった空気は、けれどやっぱりひとりの男によって溶かされた。



「ふはっ、なにそれ元旦から面白すぎるって朱花。ノブちゃん、もう食べましょーよ」


「そ、そうだね。そうしようか」


「じゃあ70歳の朱花おばあちゃん、呑んでみる?不味いって吐き出すのだけはナシだからね」


「うんっ」