奈落の果てで、笑った君を。





とんとんとん、わたしの背中を誰かが優しく叩いてくれている。


起きなくていい、眠っていい、お前は知らないままでいい───、

子守唄のように深い眠りへわたしを誘った。



「……終わる、とは?」


「…そのとき、自分にとって正しい選択をせよ。ということですよ。尚晴」



そして目を覚ました朝は。

鼻をくすぐる幸せな香りと、それ以上に目の前を黄金色の太陽が出迎えてくれた。



「明けましておめでとう、朱花」


「おめでと…?只三郎、今日はすごい日なの?」


「ふふ。これは正月だけに使う特別な挨拶なのですよ」


「そうなの?おめでとっ」



昇った朝日。
この朝日をわたしは知っている。

雄叫びをあげたくなるような、この色を。



「朝一番に日の出が拝めるなんて、最高だねえ朱花」


「桂!おめでとっ!おそと行ってくる!!」


「は?待て待てクソガキ。今日くらいはおしとやかに過ごしなさいって。
家のなかでまったり過ごすのが正月ってもんなのー」