奈落の果てで、笑った君を。





ほとんどの組員たちが“きせい”してしまって、屯所はすごく静かだった。


おおみそか、おしょうがつ。


1年の終わりと、1年の始まり。

そんな大切な期間は家族揃って過ごすことが一般的なのだと。



「じゃあもう帰ってこないの?」


「いいえ。正月が終わったらみんな戻ってくるよ」


「只三郎は?ノブちゃんも桂も、尚晴も!みんなはきせいしないの?」


「…私たちは、今年はここで過ごします」



それは、わたしのためにそうしてくれたこと。

帰る場所がないわたしのため。
家族がいないわたしのため。


そんなものをまだ理解できないわたしは、いつもどおりの笑顔を向けた。



「朱花ー、もうちょっとで年明けるよー」


「……う、ん」


「あ、寝るねこれはもう」


「ふふ。今日は朱花も頑張ったからね」



桂とノブちゃんの声がふわふわ聞こえる。


日中は屯所内のお掃除を5人で行って、カドマツやシメナワと言うものを飾った。

夜はみんなで一緒にお蕎麦を食べて、今はまったりくつろぐ一室にて。