「どうだったかい朱花、念願の花街は」
「おいしかった!」
「まあ食事処みたいな扱いしてたからねー。純粋な意味のほうだよねー。俺的にはもっと反省して欲しいんだけどねー」
「これおもち!お土産っ」
「えっ、なに、加木屋から持って来ちゃったのかよ饅頭。てか1個じゃないか、超喧嘩じゃん」
蕪木の情報ということだけを見れば、今宵の出来事は見廻組にとって、大きな手柄となるだろう。
しかし今日の任務が俺だけだったなら、先ほど耳にした内容を与頭には話していなかったのではないか。
そんなふうに思ってしまった俺は間違っているのか、正しいのか。
それすら分からない世の中を生きていた。
「まさか帰りも揃って3人だとは思いませんでした」
「あー、俺はここに泊まっていくんじゃないかって?」
肯定を促(うなが)す沈黙を置いた。
俺はこういった場所は逆に落ち着かず早く帰りたい思いだったが、人生の先輩でもある早乃助さんは慣れている感じがした。
他人の懐に入るのが得意でも、自分の私情は滅多に明かさないのがこの人だ。



