奈落の果てで、笑った君を。





「こうすると壊れるから出られるの!」


「壊れるわけないってクソガキ!ここはね、そーいう場所なの!」


「ダメっ!こんなところやだ!」


「朱花、落ち着け。…早乃助さん、かなりまずいです」



島原へ足を運ぶことができる人間は限られている。

それは身分が高く、金を持った人間だけだ。


表面上は位の高い場所として存在しているからこそ、秩序だったり決まり事には厳しい。


そんな場所でこんなふうに遊女を蔑むと捉えられる行動をする客がいれば、そういった客を追い出す専門に働く役人たちが出てくる。



「そこの者…!!なにをしているんだ!!」


「無礼者め!!ここがどこだか分かっておるのか…!!」



このままでは蕪木にたどり着く前に問題を起こすハメになる。

もしうまく誤魔化すことができず逆に怪しまれた場合は、最悪───殺される。


やはりいきなり島原は間違えていたのではないか。


冷や汗を垂らす俺の前、スッと庇うように立ったのはもうひとりの同行者だった。