奈落の果てで、笑った君を。





密集する集落。

ひとつの長屋で出会った、初めての人。



「おせわになりました」


「…そこは“ありがとう”って言うのよ」


「ありがと…?ふふっ、ありがと!」


「もう2度とここに来るんじゃないよっ」


「うん!」



名前もなく、草履もなく、裸足のまま。

けれど身体を包み込んだ着物からは、味わったことのない人情を感じた。



「ん?なにか用かい嬢ちゃん」



だとしても道が分からないため、通りすがりの1人に声をかけてみる。

着物を着ているだけでみんな優しく聞き返してくれるとは。



「あのね、キョウのミヤコに行きたいの」


「京だって?そりゃあ、ここから続く山道をまっすぐ行くか、でも駕籠(かご)を使えば…って、嬢ちゃん!」



ここからつづく山道。

ずっとずっと進んでいけば、キョウのミヤコとやらにたどり着くらしい。



「女の子ひとりだから気ぃつけるんだぞ!最近は物騒な世になってっからよーーー!!」


「ありがと!」