奈落の果てで、笑った君を。





すると尚晴はわたしの前に腰を落として、襦袢の帯をきつく結び直してくれる。

とくに緩みかけているわけでもないのに、襟の重ね目もきっちりと、わりと苦しめに。



「尚晴っ、これちょっと苦しい!」


「…それぐらいがちょうどいいんだ。お前は朝になるといつも緩んでいる」


「え、待って。いつも屏風してたんだよね?なんでそれ知ってんの。
まさかだけど尚晴、毎朝コッソリ朱花の寝顔を?」


「……ふ、布団をかけ直してやらなければ風邪を引くじゃないですか」


「…あっらーー」



ん…?どういうこと…?
桂どうしてニヤニヤしてるの…?

そんな桂のことなど構いもしないで、わたしを見つめてくる。



「朱花。お前が……その…、こ、恋煩いをしている相手は……、…誰だ」


「尚晴!」



すぐに答えたわたし。

夕日色の顔をこくっと落としてから、安心したように部屋を出て行った尚晴。


それから毎日、桂とわたしのあいだにも続行となったびょうぶ。


ハッちゃんが来て、同室の相手が変わって、約ひと月が経った。