奈落の果てで、笑った君を。





と、笑いかけると。

なにかに耐えきれなくなったのか、桂は横になっていた身体を起こして、わたしのそばに近づく。


そして肩をガシッと押さえてはガクガク揺すってきた。



「そんなわけないから。ほんとやめてね朱花。さっきといい今といい、そんな伏線だれも望んでないってば。
俺にとってお前は……枝豆みたいなモンなんだよ」


「えだまめ?」


「そう枝豆。主役ではないんだけど、無いと寂しい、みたいな。
でもしょっちゅうは面倒だから、たまにある程度が嬉しい。ね?わかった?」


「うん!」



尚晴とはまた違った賑やかな夜になりそうだと、わたしは風車を置いて今度は折り紙を手にした。

───そんなとき。


トタトタトタ、ピタッ、トタトタ、


襖の前で、誰かが行ったり来たりを繰り返すような足音が聞こえてくる。



「……だーれ?さっきから俺の部屋の前をうろちょろ嗅ぎ付けてんのは」


「わっ」



くいっと手を引いてわたしを追い越すように、前に出た桂はその一瞬で置いてあった長い棒を引き寄せた。

言葉はいつもどおりだけど、どこかいつもと違う。


────スパンッ。