奈落の果てで、笑った君を。





たまにそんなことを言ってくる男たちはいるけれど、



「朱花はね、いま見ている世の中をしっかり見つめることだけをすれば良いのですよ」



と言ってくれるのは只三郎だった。

そこに便乗したように必ず優しい顔でうなずいてくれるのはやっぱり尚晴。


だから毎日のお散歩も、わたしにとっては立派なお仕事なんだと。



「ハッちゃん!これあげる!」


「え?ありが───きゃあ…っ!!」


「ハッちゃん…?」


「来ないで…っ、来ないでえっ!」



お散歩途中で見つけた、とあるもの。

それを渡すまでもなく、見つめた瞬間にハッちゃんは顔を青ざめさせては悲鳴を上げてしゃがみ込んでしまった。


聞き慣れない悲鳴に誘われてぞろぞろと集まっては、やれやれとハッちゃんに対して申し訳なさそうな男たち。



「尚晴様…っ、尚晴様ぁ…っ」



ひとりでは立ち上がれないらしく、バタバタと身ぶり手振り。

小さなため息が聞こえながらも、呼ばれた人間は近づいて腕を貸す。