奈落の果てで、笑った君を。





“地味”がどういうものを指すのかすら分からない自分は、初めて触れた柔らかな手触りと温かな匂いに、スリスリと頬を寄せた。


そんなことをしていれば「さっさと着なさいって!!」と、また怒鳴られる。



「あんたいま12月よ!?死んだらどうするの!!」


「…シヌってなに?」


「は…?」


「シヌと、どうなるの?」



本気で分からないから聞いたというのに、「馬鹿なこと言ってないで」とあしらわれてしまう。


ぼくの身体は、普通じゃない。
おれの身体は、みんなとは違う。


化け物の子、忌み子、恐ろしい───。


周りと違うわたしは、もしかするとシヌということを経験する日は来ないんじゃないか。

そう思うと、すごくいやだ。



「んもう!いいから着るの!!」



ぼさっと突っ立っていたわたしに居ても立ってもいられなくなったのか、女は素早く着付けてくれた。