『佐々木さん…、本当は最初から分かっておられたのですか。だから朱花を…?』
『…どうだろうね。ただ、今日にも家茂公を前にして早乃助も言っていたでしょう。“朱花に似ている”、と』
私もそう思ったのですよ───、
佐々木さんの言葉は、きっと誰もが秘めていた気持ちを許してくれるものだった。
『私は若い頃から人より喉仏が出ているといじめられていてね』
『え…?』
『けれど、そんなものを朱花は喉に住む何かだと思い、しまいには“かわいい”と。…ふふ、あれは本当に参りましたよ』
その瞬間だったのだろう。
いずれこの組織が幕府の敵となり、立場を失うことになろうとも、それでもこの子を見捨てやしないと誓った決定打は。
こんなことは口が裂けても言えやしないが。
見廻組与頭である佐々木 只三郎は、どんな者も受け入れる新撰組局長である近藤 勇と似たところがあるのではないかと、俺は思った。



