「それから早乃助とノブちゃんは、帰ったら朱花に甘いものでもあげなさい」
「わっかりましたー」
「ええ、もちろんそのつもりでした」
「他のみんなも今日はいつも以上に朱花に優しくするように」と、只三郎はホッとした表情で付け足した。
屯所に戻って、さっそく目の前に出された薄紅色のおはげ。
「これは桜餅と言うんだよ。少しだけ時期は過ぎてしまったけれど、おはぎとはまた違った程よい甘さが美味しくてね」
「サクラのおもち!」
まずは見るだけで楽しめそうだ。
くんくんと鼻を近づけてみると、ふわりと伝う花びらの匂い。
「にしても、今まででいちばん朱花節が炸裂してたねえ。あんな佐々木さんを止められるのなんか君くらいだろうよ」
「そなの?」
「そうそう。あれは誰もが地獄だと思ったさ。でっすよねえノブちゃん」
「ああ。僕でもヒヤッとしたかな」



