奈落の果てで、笑った君を。





只三郎の袖を引いても、彼はいつもの穏やかな眼差しを向けてはくれなかった。

それどころかわたしを見向きもせずにパシッと払われてしまう始末。



「尚晴、朱花を大人しくさせていなさい」


「…わかりました」



なにするの…?

只三郎、どうして新撰組に向かってチャキと音を出しているの…?



「武力行使とは、佐々木殿らしくありませんぞ」


「このくらいしなければ収まらないでしょう、君たちは。所詮は礼儀作法もなっていない農民なのですから」


「…ほう、では仲間に対して刀を向けることが武士にとっての礼儀作法なのですかな」


「何度言わせれば分かるのです!!私たちは君らの仲間では───、ッ、」


「おい朱花…!」



尚晴の腕から逃れ、走っていた。

只三郎が抜刀をするより前にわたしが前に立ってしまえば、その動きはどうしたって止まる。


喧嘩はダメ。
みんな仲良くするの。

だって同じ国に生まれて、同じ言葉を話して、同じ髪の色をしているんだから。