奈落の果てで、笑った君を。





湿っていない地面。

足を付けて立って、おもいっきり走ることができる喜び。


そうだ、おれは、この炎を掴みたくて外に出たんだ。



「わあ……!」



城を出ると、壁のない世界が広がっていた。

炎よりも美しい茜色。

どこまで続いているんだろうと、無性に追いかけたくなる。


さっきまで燃えるように熱かったというのに、今は凍えるように冷たい。



「まって、まってっ」



どうして届かないんだろう。

ぐーーっと手を伸ばしているはずなのに、頭上いっぱいに広がった天井には触ることすらできない。


ふと、振り返ってみる。


城下町を見下ろす、あの大きな城が、自分がずっとずっと居た場所なのだと。



「おせわになりました」



ペコリ、お辞儀をひとつ。

見張り役が誰かにそう言って頭を下げていたところを見たことがある。


さようならをするとき、こうするといいんだって。