奈落の果てで、笑った君を。





『うひゃっ!あっつい…!』


『舌がヒリヒリする…!』


『うぁっ、べーー』



粥を食べようとするだけであの始末だ。

俺が近づいても頬を染まらせることもなく、何だとしても言うとおりにしてしまう。



『尚晴はわたしのことすき?』



まったく虚しくもなるものだ。

人の気も知らないで、真っ白すぎる心で聞いてくる。



「しょう、せい……さま?」



唇と唇が合わさる寸前、どうしてもそれより先へは行けなかった。


我に返り、改めて状況を把握すると地獄。

自分で自分を斬り殺してしまいたい。



「…なにを…しているんだ俺は」



女の着物より先に自分の乱れた着物を戻し、すぐに身体を起こした。

そのあとハツネの身なりも元に戻してやっては立ち上がる。



「悪い。…帰る」


「尚晴様…!」


「俺は、お前が求めるような器を持ってはいない」



たとえ武家の娘であろうと、見廻組は安易に女が近づいていい場所じゃない。

手紙には目を通す。

だからせめてそれだけにしてくれ───と、金を置いて部屋を出た。