「…ふっ」
「尚晴様…?」
「それを食ったらここを出るぞ。俺はこういう場所は好きではない」
慣れないことをするな。
今だっておはぎを持つ手さえ、震えている。
そこまでして俺の気を引きたかったとするならば、こんなものは逆効果だ。
「ハツネは…魅力がありませんか…?」
「…そうではない」
「尚晴様にとって、まだ子供なのですか…?」
「違うと言っているだろう」
「ではどうしてっ、……先ほど屯所にいた女性に向けていた顔を、ハツネには向けてくださらないのですか…?」
そんなことを言われても自分の顔を常に鏡のように見ることができるわけではないから、わからない。
ただ、朱花と接している俺は柔らかい表情をしていることだけは知っている。
ハツネは15歳。
歳だけ見れば、朱花と同じほど。
「おい、なにをしている」
ぱさり、ぱさり。
淡い簪で留めていた髪をほどいたかと思えば、今度は帯。
自ら着物を脱いでゆくハツネ。



