奈落の果てで、笑った君を。





「すみません。お食事中のところ失礼します」



冬の去り際を告げるように、だんだん暖かくなってきた日射しの射し込む襖。

ひとりの隊士は部屋にいる俺を見つけ、口を開く。



「忽那、おまえに会わせてくれと女性が見えているぞ」


「……忙しいと伝えてくれますか」


「いいのか?おまえ今日非番だろう」


「…別の用がありますので」


「わかった」



それだけを交わし、男は去った。

カチャカチャと、気にせず食事をつづける者はひとりだけ。



「朱花、俺の味噌汁も飲むか」


「飲むっ!ありがと尚晴!」



誰が来ているのか、検討はつく。

というよりも、その人しかいない。

まだ手紙をもらったばかりだ。
どうして待てないんだ、それすらも。



「いやいやいや。ちょっとちょっと尚晴」



案の定、そこをつついてくる桂 早乃助。

こうはなりたくなかったから、すばやく朝食を片付けたかったというのに。