「それは当たり前のことでは……」
「いや、それができねぇ奴は意外といるんだよ。以前雇ったことのある情報屋は久我組を裏切り、情報を流しやがった。塩野──こいつは情報屋ではなかったが、久我組を裏切った。そういうこともあって、正直折川さんのことを信じられなかったんだよな。折川さん、今まで変な態度取ってすまなかった」
あぁ、なるほど、そういうことがあったのね。
でも、そんなことで信頼を得られるのかとやっぱり思ってしまうんだけど。
「謝る必要はないです。そんなことがあったのなら、信じられないのも無理はないですから」
「……折川さんは優しいんだな」
優しい、ね。
こんな真っ黒な私が優しいとはとても思えない。
「別に私は優しくなんてないです」
裏社会に足を踏み入れることを決意して以来、元々あってないような優しさなんてどこかに行ってしまったのだから。
「謙遜か?折川さん、意外とそういうタイプなんだな」
「はぁ、そうでしょうか」



